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化学の基礎知識

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物質について

1 物質の構成

[1] 分子と原子

たとえば 水素ガスH2を 構成粒子の最小限にまで分割していった場合、その特性をもった最小の粒子にまで分割できます。そのときの 最小粒子を 分子といい、 この水素ガスの性質をもった粒子1粒=1分子は さらに 水素原子2個から構成されています。

 ですから その分子を構成する最小の粒子が原子であり、その原子の構造の中心に原子核、その周囲に電子があります。

 一方 原子核は陽子と中性子からなり 陽子の数を原子番号、陽子と中性子の和を質量数といいます。

[2] 元素

原子は 物質の最小単位の粒子である分子を構成する、さらに最小単位の粒子ですが、その原子は 100種類を超える種類があります。ですから 原子には その1ついつの種類に応じた名前がつけられますが、原子をその種類ごとに指すときには、元素といいます。元素はそれぞれの記号を用いて表わします。たとえば、水素の元素記号はH 酸素は O 炭素原子は C 窒素はN 塩素は Cl ナトリウムは Na カルシウムは Caなどです。


2 原子量と分子量

[1] 原子量
 炭素Cの質量を12と定め、それと比較した各原始の質量比のことを原子量といいます。(比較係数なので単位なし)

[2] 分子量
分子に含まれている元素の原子量すべてを足したものを分子量といいます。(単位はありません)
※ 水はH2O ⇔ Hの原子量は1、Oの原子量は16 これらの結果を経て、水の分子量は16+1×2=18 で 分子量 18となります。
[3] モル (物質量)
実際に、物質の1粒ずつに質量を単位で表わすと、とてつもなく小さな0.00000・・となり、現実的には 扱いにくい数値となります。そこで、炭素原子に照準を合わせ、かりに 炭素原子が全部で12gあるような粒の数を 1モルと決めることにしています。1モルの粒数は 実際には6.02×1023個というとてつもない数ですが、この数を実際に計算式に入れる前に、1モルとして 最小単位として扱います。
※ 酸素O2の分子量は16×2=32ですから、 分子量というのは 1モルあったら何グラムかという数値が前提ですから、 酸素1モル(mol)は 32gあるということになります。
ちなみに、 気体の場合、標準状態においては どのような気体であれ、1モルの気体が占める体積は 22.4リットルになると 実証されています。

3 物質の種類

物質は その構成要素から ただ1種類の物質からなる純物質と2種類以上の物質からなる混合物に大別されます。

純物質

純物質には 単体と化合物があります
単体
単体とは 1種類の元素のみで構成されている物質をいいます。 例として、酸素O2  という物質は 分子の中の構成元素をみると、O 酸素原子は2つありますが1種しかありませんので、単体といわれるのです。    
同素体・・ダイヤモンドと 黒鉛は ともに炭素元素のみからなる単体ではあるのですが、その性質はまったく異なります。このように同じ元素から 同じ構成でなる2つの物質であっても、その構成の仕方により、性質が異なる場合がよくあります。このとき 性質の異なるもの動詞を同素体といいます。  例 黄リンと赤リン   酸素とオゾン など             

物質の変化

1 物理変化と化学変化のちがい

[1] 物理変化とは 物質の性質は変化せずに、力や温度の影響で 形だけが変化することをいいます。 したがって 見た目 気体が固体になったり、液体が固体になったり、また 液体が気体になったりなどと、その形は 大きく変化しますが、物質としての性質や分子式は同じといえる範囲内での 変化なのです。

[2]  化学変化とは 性質そのものが 変化して 別の物質になることをいいます。つまり 物質の分子の構成が変わったいえます。

例  鉄を空気中にさらすと 錆びる

   アルコールを燃やすと、水と二酸化炭素が発生した。

2 主な化学変化

[化合と分解]
  1. 化合とは 2種類以上の物質が科学的に結合して 全く別の物質ができる変化をいいます。 例 水素と酸素が化合して水になる。 2H+O → 2H
  2. 分解とは 1つの 物質(化合物)が2種類以上の物質に分かれることをいいます。※化合とは 逆方向の変化となります。  例 水を電気分解すると、水素と酸素の気体になる

化学反応

1 化学式と化学反応式

[1] 化学式 

元素記号を組み合わせて物質の構造を表わしたものを化学式といいます。

[2]化学反応式

 化学式を用いて化学変化を表わした式を化学反応式といい、次のように 左右の同一種類原子ごとの総数が等しくなるように係数を定めます。

例   2H   +   O    →     2H

係数   2          1         2
質量   2×(1×2)g  16×2g     2×(1×2+16)g
物質量  2モル      1モル      2モル

2 反応熱

 

  • 一般的化学反応には 熱の発生や吸収をともないますが、その熱量を反応熱といいます。
  • 熱の発生をともなう化学反応を発熱反応といい、熱を吸収する反応を吸熱反応といいます。

反応熱の種類

  1. 燃焼熱 物質が完全燃焼するときに発生する熱量
  2. 生成熱 単体から化合物が生成されるときに発生するか、吸収される熱量
  3. 分解熱 生成熱とは逆に ある物質から分解して パーツの物質に変化するときの熱量
  4. 中和熱 酸と塩基が中和するときに発生する熱量
  5. 溶解熱 物質を溶媒に溶かすときの熱量

3 熱化学方程式

 化学反応式に反応熱を記し、両辺を等号で結んだ式を熱化学方程式といいます。

酸化還元とイオン化傾向

1 酸化と還元

1<酸化>

物質が酸素と化合するか、または 水素を失う反応を酸化といいます。

例  炭素(C)が燃えて 二酸化炭素(CO)になる反応
C + O → CO
(炭素からみると、酸素原子が結合したので、酸化されたといいます)
一酸化炭素(CO)が燃えて二酸化炭素となる
CO + 1/2O → CO
一酸化炭素が酸素と結合して、二酸化炭素となるのも、炭素にとっては酸化であるし、この反応全体を見ても 酸化反応といえます。
<2 還元>
酸化とは反対に 酸化物が酸素を失う、または水素と化合する反応を還元といいます。


 酸化第二銅 (CuO)が水素で還元されて銅(Cu)になる。
CuO  + H2  →  Cu + HO
 1  CuOが 酸素を失って、銅と水になる
 2  CuO が水素と化合して  銅と水になる。 (視点を変えただけで同じこと)
 酸化銅からみれば(のうち銅) 酸素を奪われる方向の反応が 還元となります。

※ 1つの反応の中では 必ず、酸化と還元は同時に起こります。ある元素を中心として見るとそれは 酸化であっても、別の元素を中心にしてみると 還元であることになります。
 上の 酸化銅の還元の場合には 銅にとっては 還元であっても、 水素原子からみると それは 酸素が化合するので、酸化となります。

2 酸化剤と還元剤

他の物質を酸化する物質を 酸化剤 といい、 逆に 還元する物質を 還元剤といいます。

1の炭素の酸化の例では 酸素Oが酸化剤で 2の酸化銅の還元の反応の例では、水素H2が還元剤となります。

3 金属のイオン化傾向

水溶液中において、金属が陽イオンになる性質をイオン化傾向といいその性質をもつ元素をその性質の強さ順に並べたものを イオン化傾向といいます。

 そのイオン化列は次のようになります。比較対象にされる元素は 溶けた場合陽イオンになる金属元素です。右ほど 陽イオンになりにくいので、錆びたり、酸に侵されにくい金属といえます。 その最たるものが、銀や白金、金などです。

K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>(H)>Cu>Hg>Ag>Pt>Au

「覚え方」
貸そうかな ま あ あて    に す な ひ ど す ぎ  る   借金
カ  カァ ナァ マ ア ア テ ニ ス ナ ヒ(H) ド ス ギ ル ハッ キン

左の元素ほど 塩酸などの酸に溶けやすかったり、水溶液になってイオンになる傾向が強いといえます。 また H は水素で 金属イオンではありませんが、水素は水素イオンという陽イオンになりやすいので 比較の対象として イオン化列に掲載されます。ちなみに、(H)より右であると 塩酸などの酸に侵されにくいといえ (H)より左のなればなるほど、酸はもちろん水に溶けやすいものが多くなります。金属元素が溶けるということは 陽イオンに変化するということにほかなりません。(加熱してドロドロにする場合を除く)
※ また 鉄などの建築素材などが 雨などで劣化したり 錆びるのを防ぐため 鉄の表面に亜鉛Znをメッキした「トタン板」 鉄の表面に スズSnをメッキした「ブリキ」という素材があります。亜鉛がメッキされている場合、イオン化傾向の大きい亜鉛が鉄が錆びたり、とける前に溶けるので本体の鉄の腐食が遅れるのです。 また 缶詰に用いられているトタン(鉄の表面をスズでメッキ)は 鉄よりもイオン化傾向の小さいスズは 鉄よりも腐食されにくく、鉄を表面をさらに強くコーティングしているようなものです。さらに、傷がついて 缶詰の容器液に 鉄とスズが同時にさらされた場合、イオン化傾向の大きい鉄の方が 優先的に食品中に溶け出すので、人体にも安全性が高いといえます。 
● このように イオン化傾向の異なる金属元素の複数が陽イオンになったり腐食するとき、よりイオン化傾向の大きい物が優先的に溶け出す代わりに、イオン化傾向の小さい金属の陽イオン化 腐植化、水溶化は 抑えられるといえます。

酸と塩基

1 酸

酸とは 水溶液中で 電離(分子中のブラス部分とマイナス部分に分かれて浮遊すること)して水素イオンH+を出すものをいいます。

 塩化水素(塩酸)の場合

HCl → H + Cl  (塩酸が 水に溶けて電離し、水素イオンと塩素イオンに分かれます)

[1] 水溶液は酸性を示し、青色リトマス試験紙を赤色に変えます

[2] 酸と金属が反応すると(一部例外あり)水素を発生しながら、金属は溶けていきます。

2 塩基

塩基とは、水溶液の中で電離して 水酸化物イオン OH を だすものをいいます。  

  例  水酸化ナトリウムの場合

NaOH   →   Na + OH

(水酸化ナトリウムが 水に溶けて ナトリウムイオンと 水酸化物イオンを生じる)        ※ 塩基の存在する水溶液は アルカリ性をしめし 赤色のリトマス試験紙を青に変えます。

3 中和

酸と塩基を混合すると、互いの性質を打ち消しあい、中性の塩と水が生じます。この反応を中和といいます。中和反応では 酸の元になる水素イオンと 塩基の元になる 水酸化物イオンが プラスとマイナスの静電気的な結合により、中性の水になることで、互いの 酸性、アルカリ性を消し去ります。お互いの酸、塩基の量が等しければ、完全な 中性になりますし、一方が多ければ、そちらの方の性質が弱まった状態ですが、残ります。

4 PH(水素イオン指数)

PHとは 水溶液の酸性やアルカリ性(塩基性)の度合いを表わすときに用いられるもので、pH7が中性であり、酸性度、アルカリ性度が 互いに拮抗した状態を示します。この 中性のpH7より 数値が下がると 酸性になり、上がると、アルカリ性(塩基性)ということになります。

有機化合物

有機化合物とは

  1. 一般に炭素の化合物を有機化合物といいます
  2. 有機化合物は炭素原子の結合の仕方により鎖式(さしき)化合物と環式(かんしき)化合物に分類されます。

有機化合物の特性

  1. 有機化合物の主成分元素は C(炭素)とH(水素)O(酸素)N(窒素)です
  2. 一般に燃えやすい性質があり、燃焼すると 二酸化炭素と水が発生し、その他の元素が含まれているか 炭素Cの量が多い場合には その他の酸化物あるいは 一酸化炭素CO、黒鉛Cなどが発生します。
  3. 一般に水に溶けにくいものが大部分を占めますが、水になじみにくい一方で、有機溶媒(アルコール、エーテルなど)にはよく溶けます。
  4. 一般に静電気が発生しやすいといわれます。(電気の不良導体であるため、摩擦が生じるためといわれます)

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