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物質の状態変化


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1 物質の状態の変化

物質の三態とは
一般に物質は固体、液体、気体の3つの状態で存在します。このことを物質の三態といい、温度や圧力を変化させることにより、それらに適応した状態に変化します。

1 融解と凝固 (固体と液体間の変化)


融解とは 固体が自然にあるいは故意的に加熱などされて 液体に変わる現象で、そのときの固体が吸収する熱を 融解熱といいます

例として、 氷を加熱すると水になる。(氷が融解熱を吸収して液体である水に変化します。


凝固とは 液体が 冷却など 熱を奪われ、固体に変わる現象であり、そのとき 液体が熱を放出する(もっている熱を奪われる)熱を凝固熱といいます。
例として 水が冷却されて氷になる。

2 気化と凝縮 (液体と気体間の変化)




気化とは 液体が(加熱されて または 自然に熱をもらい)気体になる現象です。そのときの液体が吸収する熱を気化熱(蒸発熱)といいます。
例として 水を加熱 あるいは 常温で長時間放置すると水蒸気になります。(水が気化熱などを吸収して水蒸気になる。)
凝縮とは 気体が(冷却されて)液体に変わる現象で、そのときの気体が放出する熱を凝縮熱といいます。
例として、水蒸気(湿り気の多い空気と考えてよい)が そのときの温度以下になるように冷やされるなどして、液体の水になる(もどる)ことがあげられます。

3 昇華(固体と気体間の変化)

昇華とは固体から 直接気体になったり、またはその逆に気体から直接固体になる現象をさします。その際に吸収されたり、放出される熱を昇華熱といいます。
融解とは 固体が自然にあるいは故意的に加熱などされて 液体に変わる現象で、そのときの固体が吸収する熱を 融解熱といいます

(例) ドライアイスが炭酸ガスになる=ドライアイスが昇華熱を吸収して炭酸ガスになる  この現象 固体 → 気体 
※ 昇華熱をはじめ 気化熱や融解熱など、状態を変化させるだけで温度の上昇をともなわない熱を潜熱といいます。 

その他の 物質の状態の変化を表す独特の用語

潮解・・固体が空気中の水分を吸って溶ける現象
風解・・潮解の逆の現象であり、結晶水(無水の固体物と水が一定の割合で結晶となり固体を構成するもの)などを含む物質が その水分を失って 粉末状(無水の固体)になる現象

2 密度と比重の意味

(1)密度
密度とは 物質1cm3あたりの重さ(質量ともいう)をいいます。このことは その物質の重さ(g)をその体積(cm3)で割った値のこととなります。
密度 = 物質の重さ(g)        (g/cm3)
      物質の体積(cm3)
例を挙げると、1cm3 の重さが3gの物質であれば、その物質の密度は 3(g/cm3)となります。
(2)比重  ※ 固体や液体の場合
比重とは ある物質の重さがそれと同じ体積の水(厳密には1気圧で4℃の水)の重さの何倍にあたる重さの物質であるかということを 現した数値です。同等であれば1 や 1.00と現しますから、特別な単位はつきません。

※例をあげると、比重が1.26の二硫化炭素は 水より重いということになるので、水に沈みます。しかしながら、比重が約0.7のガソリンであれば、水より軽いということになるため 当然水に浮くのです。このように 比重が1より大きいか 小さいかによって、水中で浮くか沈むかなどを 簡単に予測もできます。

(3) 比重 (上記の場合)
 蒸気の比重とは ある蒸気の重さがそれと動体積の空気(厳密には、1気圧 0℃での空気)の重さの何倍かということを表わした数値なのです。

※ 例をあげると ガソリンの蒸気比重は 3~4程度であるため、空気より3~4倍重いということになります。したがって 大気中、空気中に放たれたガソリン蒸気は 低いところに、滞留しやすいという予測ができます。

3 沸騰と沸点

液体を加熱していくと、まず 液体表面か気体になって飛んでいく気化がおこります。この気化は 液体の温度が 低い状態でも、すくなからず起きています。ただし、液体の温度を上げていくと より激しく気化がおこるようになります。そして さらに液体を加熱していくと 液体の表面からだけではなく、内部からも一気に気化していくようすが、内部から湧き出る気泡などとして観察できる程度となります。この現象を沸騰といい、その時の温度を沸点といいます。
  1. 沸騰は 液体の飽和蒸気圧と液体表面に加わる外気圧(大気圧)が等しくなったときに発生します。それ以上熱くなると、液体の飽和蒸気圧が 外気圧を超えますよという時点で 液体が液体でいられなくなる 蒸気圧となるのです。そして そのときを沸騰といい、その温度を沸点といいます。したがって 沸点は 同一の純粋な液体では 一定ですが、大気圧が変わると 沸点も変化します。富士山の山頂では 水は100℃より かなり低い温度で沸騰 = 水の飽和蒸気圧が 大気圧に届いてしまうというわけです。
  2. 標準状態(大気圧=1気圧)では 液体の飽和蒸気圧が1気圧となるぐらいの温度まで 液体の温度が上がれば、沸騰します。すなわち、液体の飽和水蒸気圧が1気圧になるときの液温が沸点となります。
  3. 外気圧が高いと沸点も高くなります。 逆に外気圧が低いと沸点も低くなります。 外気圧が低いときの例は 富士山山頂などの高所で、水を沸かすときの例があげられます。
熱について

1 熱量の単位と計算

(1)温度
温度を表わす単位には、通常用いられるセ氏の他に絶対温度があります。絶対温度というのは セ氏の-273℃を0℃とした場合の温度で 単位は K(ケルビン)を用います。
※ 乙4種の試験では 通常 ℃を用いますが、温度差などを表わすばあいには このKを用いる場合があるので要チェック

2) 熱量
  1. 物体が温められるのは その物体に「熱」という種類のエネルギーが加えられたためであり、そのエネルギーの量を熱量といいます。
  2. 単位はジュール(J)または キロジュール(KJ)を用います。ちなみに 1KJ=1000Jとなります。
  3. 水1gの温度を1K(1℃)上昇させるのに必要な熱量は 約4.19Jとなります
3) 比熱と熱容量
物質には 同じ量の熱を加えても、温まりやすい物質と、あたたまりにくい物質があります。その温まりやすさ、にくさの度合いを1g当たりで表わしたものを比熱といい、物質全体で表わしたものを熱容量といいます。
  比熱 ・・・ ある物質の1gの温度を1K(1℃)あげるのに必要な熱量をいいます。 単位は(J/g・K) または (J/g・℃)で表わします。
  熱容量・・・その物質全体の温度を1K(1℃)上げるの日必要な熱量のことをいいます。単位はJ/K または J/℃となります。
したがって、熱容量は比熱にその物質の質量mを掛け合わせた値となります。
  熱容量(C) = 比熱(s) × 物質の質量 (m)

2 熱の移動とは

 熱の伝わり方には 伝導、放射、ふく射、対流の3種類があります。
(1)伝導
金属棒の一端を暖めるとやがて 他端の方も暖められていきます。 こういった 熱が金属物体そのものを伝わることは 熱が 高温部から低温部へと移動して、伝わっていったものと考えられ、この現象を伝導といいます。
物質には熱伝導のしやすい物質としにくい物質があります。その度合は数値化でき、その数値を熱伝導率というのです。
●1熱伝導率の値は 物質の種類それぞれに固有の値です。
●2熱伝導率の数値が大きい物ほど、熱が伝わりやすくなります。
●3熱伝導率の大きさは 一般に 固体>液体>気体 の順になっており、固体のものが最も熱を伝えやすい傾向があるといえます。
やかんに火をかけて水を沸騰させた場合など やかんを持ち上げようと 取ってをさわると さわれないぐらい熱くなっているのは熱伝導のためです。 もちろん水が100℃になるのも同じ理由です。

(2)放射(ふく射)

太陽が地面を温めるように、高温の物体から発された熱線(=放射熱)が 遥か彼方からでも、一定の空間を通過しながら、直進して地球上の地面や物などに当たり、熱を受け取る現象を放射(ふく射)といいます。
例 石油ストープや電気ストーブの熱が発熱源から発されて、ストープの前にいる人を より暖かく感じさせるのは 放射熱のためです。
(3)対流

気体や液体などの流体(形が決まっておらず、流れるもの)が加熱されると、その部分が膨張するので、同じ重さで体積(容積)が大きくなり、密度が小さくなります。つまり軽くなるといえます。そうすると その部分の液体は上昇し その部分には 温度がより低い流体が流れこむという上下の移動が循環がおこり、これは熱の移動でもあり、対流といいます。

 例 風呂などを沸かす時、 暖められた水は 水面近くまで浮き上がります。 このことにより 熱の移動が順次、繰り返し起こるため、次第に風呂全体が温まります。かき混ぜなくても ある程度風呂が全体あたたまるのは対流がおきることが1つの原因なのです。

3 熱膨張について

熱膨張とは 温度が上昇するにつれて物体の長さや、体積が増加することをいいます。 液体の場合、増加した体積は次の式で求めることができます。

増加体積 = 元の体積 × 体膨張率 × 温度差
例題 増加体積を求める
10℃で1000リットルが20℃になると、体積は何リットル増加するか
 ただし、ガソリンの体膨張率を1.35×10-3とする
正解答  増加体積=元の体積×体膨張率×温度差
            =1000リットル × 1.35 × 10-3(20-10)
             =1000リットル × 1.35 × 10-3 × 10
             =13.5リットル  正解 13.5リットル
この値は 膨張分の体積ですから、膨張後になった結果としての全体積は
1000 + 13.5 = 1013.5リットルとなります。

    なお参考までに 気体の場合は「圧力が一定の場合、体積は温度が1℃上昇するごとに体積の 1/273 ずつ膨張する」という法則が適用されます。(ただし、条件として0℃のとき) この法則をシャルルの法則といいます。
※ 例題では ガソリンの膨張率を 1.35×10-3としていますが これを 次のように表すことがありますが、基本的には 同じ計算で K-1は単なる記号として 計算に組み入れる必要はありません。 
1.35×10-3  = 1.35 × 10-3K-1

静電気

1 静電気とは?


電気を通しにくい物体(絶縁体または不良導体という)どうしを摩擦すると、物体の表面に静電気が発生します。 そのとき、一方の物体にはプラスの電気、もう一方にはマイナスの静電気が発生し(=帯電するという)それらが 蓄積します。つまり、電気が流れずにたまる一方になるのです。ある一定以上たまってから、プラスの物体とマイナスに帯電した物体をある程度近づけると、マイナスの電気がプラスの方に移動する放電がおきます。放電は 電圧がある程度大きくなった場合には、物体どうしが、ある程度離れていても、電気が流れます。空気中を電気が移動するので、火花がでるのです。 火災の原因の中で、このような放電による電気火花が点火源となる場合もあります。
※ ちなみ 静電気は人体をはじめとして、すべての物質に帯電します。

2 静電気が発生しやすい条件

(1) 物体の絶縁抵抗が大きいほど(=不良導体、電気抵抗がとても大きいほど)発生しやすい
(2)ガソリンなどの石油類が 配管やホース内を流れる時に発生しやすく、また その流速が大きいほど発生しやすい。
(3)湿度が低い(乾燥している)ほど発生しやすい
(4)ナイロンなどの合成繊維の衣類は木綿の衣類よりも帯電しやすい(静電気を発生しやすい)



3 静電気の発生(帯電/蓄積)を防ぐには

2 の (1)(2)(3)(4)の発生させやすい条件を打ち消すような環境をつくる。
(1)導電性の高い材料を用いる。(危険物施設では、容器や配管など)
(2)危険物施設などでの 物質の流速を遅くする。
(3)湿度を高くする。
(4)合成繊維の衣類ではなく、木綿などの衣類を選ぶ
(5)摩擦が起きることが避けられない場合でも、摩擦を減らしたり、小さくする。
(6)室内の空気をイオン化する(空気をイオン化して静電気と中和させ 電気的にゼロにする)
(7)接地(アース)をして 静電気を地面に逃がす
 などが 主な 静電気対策となります。その他にも 状況に応じて静電気が起きにくくすることできる場合があります。

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